エルサルバドル産コーヒーの特徴

火山が多いことで有名なエルサルバドルは中米の小さな国。西はグアテマラ、北と東はホンデュラスに囲まれ、南は太平洋に面しています。
国土のほとんどが標高600m以上の高原であり、雨季と乾季がはっきりと分かれている気候性と相まって、コーヒーの栽培にはとても適した環境です。コーヒーはエルサルバドルの農業生産の3割を占める大きな産業です。
エルサルバドルの等級
栽培場所の標高で2種類の格付けがあります。
- Strictly High Grown (SHG) 1200m~
- High Grown (HG) 800~1200m
- Central Standard (CS) 600~800m
コーヒー豆は一般的に標高が高いほど高品質とされるので、SHGの方が価格が高くなります。
コーヒーの品種
全てアラビカ種が栽培されています。
大多数はブルボン種とブルボンから突然変異したパカス種です。
エルサルバドルで開発されたパカス種とマラゴジッペ種の交配種であるパカマラ種は大粒で高品質。しかしエルサルバドル全体の3%しか生産されていないので、カフェでパカマラと書かれた豆が売っていたら要チェックです!
味の特徴
まろやかな風味とふんわりとした甘さが特徴です。
この甘さは精製方法が関係しています。エルサルバドルで主流なのはハニープロセスという精製法。
精製とはコーヒーチェリー(果実)から豆を取り出す工程のこと。果肉を剥がした後のコーヒー生豆についたベトベトをどう除去するかの違いで味と香りが変化します。

エルサルバドルのハニープロセスはベトベトをそのまま乾燥させるパルプドナチュラルと呼ばれる精製法のひとつです。
パルプドナチュラルはベトベト(正式名称はミューシレージ)をどのくらい残すかで風味や味が変わり、ハニープロセスの豆からは名前の通り蜂蜜を思わせるような甘さが出ます。
まろやかさと甘みを引き出すドリップ方法

では、家でエルサルバドルのコーヒー豆をドリップする時には、どんな淹れ方をするとその特徴的な甘さが楽しめるのでしょうか?
ここではぼくが何度も試行錯誤して見つけた甘さを引き出すためのドリップ法をご紹介します。
焙煎度
浅煎り〜中煎りがオススメです。
実は焙煎後のコーヒー豆には糖分は含まれていません。焙煎中に加熱分解されてなくなってしまいます。
では何が甘さを感じさせているかというと、砂糖を焦した時に発生するフラノン類がもっとも有力視されています。コーヒーを口に含んだときにフラノン類が鼻に抜け、その共感覚で甘さを感じるという説です。
フラノン類は浅煎り〜中煎りでピークを迎え深煎りではほとんど残りません。
エルサルバドルの甘さをしっかりと味わいたいなら浅煎りのものを選びましょう。
深煎りはダメというわけではなく、深煎りのエルサルバドルはチョコレートやナッツの香ばしいフレーバーで、浅煎りとは違った美味しさがあります。深煎りの豆の場合はちょっとお湯の温度を下げて気持ちゆっくり目に淹れると美味しくなりますよ。
豆の量
20gで300ml抽出の標準的なレシピでOK。
挽き方
中挽き〜中粗挽きがおすすめ。

お湯の温度が高めなので細かすぎると雑味が出てくるので注意。
お湯の温度
85~87℃がベストポイント。香りとコクが両立されてめちゃくちゃ美味しいです。
90℃だと香りは強くでて甘みが引き立ちますが、コクは若干少なくなります。
ドリップの手順
ドリッパーはハリオV60を使用。
コーヒー豆20gでお湯の量は300ml。
以下の配分で投入していきます。
- 蒸らし 30g
- 一投目 100g
- 二〜五投目 50gずつ
甘みを引き出すためのポイントはふたつ。
- 一投一投の間をしっかり待つ
- お湯を少し太めに注ぐ
一投一投の間をしっかり待つ
一投目を投入したら、お湯が落ちるのをしっかり待ち、お湯が落ちきる直前に次のお湯を投入します。二投目以降も同様。
ずーっと注ぎ続けると香りが弱まり雑味がでてしまいます。
お湯を少し太めに注ぐ
一投目を止めると、お湯の表面に浮いているコーヒー粉と泡が湯とともに落ちていきます。
二投目からはその粉と泡をしっかりと浮かすように、少し太めに投入します。ただし、絶対に土手は崩さないでください。
のの字は描かずにまっすぐ注ぐか、小さく円を描いてください。ドリッパーの中央に湯をさっと入れて、沈殿しかけた粉を下から浮かすイメージです。
ハニーコーヒーのお味は?
この淹れ方でドリップをすると、コーヒーを口に含んだ時にふんわりとした甘みを感じます。コーヒーのしっかりとしたコクも合わさってとても美味しい。
コーヒー自体に甘さがあるので、合わせるお菓子は糖分控えめのシナモンクッキーなどが良さそうです。
ぜひ自宅でもエルサルバドルのコーヒーを楽しんでみてくださいね。